2005年9月、南僑グループが運営している點水樓は営業を始めました。
江南料理と点心を中心に、その種類は幅広く、精緻で、そこには杭州料理、蘇州料理、揚州料理、上海料理、寧波料理など各様式の名品が含まれます。
現在、點水樓には多くの支店があり、その中でも南京店と懐寧店では、名高い中国書画や骨とう品、木彫が店内を飾り、たいへん趣きがあります。
また、點水樓には台湾でも最初の「配酒サービス」があります。これは各地の醸造所の名酒や、私たちが自家醸造しているお酒と相性のいいデザートを提案するサービスです。
點水樓の中心的人物は、南僑グループの会長である陳飛龍氏です。彼は成功した経営者であるだけではなく、経験の深い美食家でもあります。
もう一人の中心人物は総経理の周明芬。この数年の彼の取り仕切りにより、南僑グループの経営する「皇家可口」、「點水樓」、「潮江燕」はいずれも高い評判を得ています。
ふつうのレストランであれば、目玉料理の二、三もあれば、お客様に何度もご愛顧いただくことができるでしょう。
しかし、點水樓は料理において人を尊敬せしむる研鑽精神を持っています。それは深さと広さを兼ね備え、その美味の密度では右に出るものはいません。
多くの中華料理店では、小菜(シャオツァイ)の扱いは適当なものです。しかし點水樓では小菜の一品ごとに、腕のある職人が丹精をこめており、味気ないものはひとつとてありません。
點水樓には、小菜だけでも「トリとハムの細切り豆腐の焼き物」、「鎮江肴肉(豚のもも肉のチャーシュー)」、「寧波式野菜煮込み」、「タウナギの唐揚げ」、「きゅうり春巻きのゴマダレ添え」、「冷やしビンロウ花」、「カボチャの梅ソース添え」、「ピータンのネギ生姜炒め」、「鳳尾魚の五香スパイス漬け」、「豚タンの粕漬け」、「ピクルスのトウバンそぼろ」、「青唐辛子の肉詰め」、「カブのトマト炒め」、「豚ガツのジャスミンスモーク」などの品が揃っています。
そして、新たな一品「荷葉煙燻鰣魚(ジギョの荷葉スモーク)」は譚家秘伝の調理法を基に発展させた料理です。
その調理法はきわめて特異なもので、譚延闓(たん えんがい 清〜中華民国時代の政治家)の1927年6月5日の日記にはこのような一節があります。
「散後,偕程至精衛寓飯,璧君手製鰣魚極佳。其法但淨洗魚,包以荷葉,極堅密,置鍋中(或蒸籠)乾蒸,不加酒水及他作料,而芳香異常,本味不失,此法可入食譜也」
(きれいに洗った魚を荷葉で包み込み、鍋もしくはセイロに置く。酒、水また香辛料などは一切入れずに蒸しても、類い稀な芳香があり、却って素材本来の味が引き立つ)
點水樓ではできるだけ台湾現地の食材を用い、地方の農産品を使うことを奨励しています。
たとえば嘉義県の農産物を多く用いることで、独特の味わいを作り出すことができます。
その例としては、「海鮮のわさび入り湯葉巻き」、「ウーロン茶入りのエビ玉」、「鴨のウーロン茶葉スモーク」、「わさび入り魚唐揚げ」、「トリのウーロン茶煮込み」、「冷やしキクラゲ麺」、「リュウガン入り台湾風蒸しケーキ」、「リュウガンのアイスキャンディー」などがあります。
また、バジリコは万年脇役のようですが、點水樓ではあえてバジリコを用いた料理を考案し、この脇役を華麗に変身させました。
「豆腐干のバジリコ和え」、「鎮江ヤオロウ」、「半天花のバジリコ炒め」、「イカのバジリコ焼き」、「ウナギのバジリコとネギ生姜炒め」、「豚肉のバジリコひとくちクッキー」などが挙げられます。
その中でも特におすすめは「豆腐干のバジリコ和え」。もはやバジリコは主役となり、その香りが我々を愉しませてくれます。
私たちは上海で、よく豆腐干のナズナやコヨメナ和えを食べていましたが、あるときバジリコへの認識をあらためました。こんなに美味しいものがすぐ身近にあったなんて、とはっと気づいたのです。
點水樓の名物は多くあります。例えばメインディッシュには「鎮江ヤオロウ」、「草魚の甘酢あんかけ」、「富貴乞食鶏」、「エビとカニの江南風炒め」、「カニのソース炒め」、「醃篤鮮(中華風豚骨スープ)」、「紅糟(ホンツァオ)のピリ辛魚」、「お焦げのエビ玉」、「龍井茶のエビ玉」、「サメ唇の煮込み」、「鴨肉の土鍋」、「ピリ辛ノコギリガザミ炒め」、「胡椒風味の揚げ豚足」、「東坡肉(ドンポーロウ)」、「肉団子の土鍋煮込み」、「八宝鴨」など。
点心類には「カニ肉入り小籠包」「大根パイ」、「お魚のワンタンスープ」、「野菜の蒸し餃子」、「葱油餅(ツォンユーピン)」、「鶏肉の紹興酒漬け」、「豚の角煮」、「もち米入りナツメ」、「小豆入り蒸しケーキ」、「ナツメ餡入り鍋餅」、「ナズナ入り鍋餅」があります。
點水樓の小籠包も評判がよく、世界では鼎泰豐の小籠包だけが、點水樓に匹敵できると言っても過言ではないでしょう
デザートには「アロエ入りレモンジュース」、「アイスクリームと果物入りの芋あん」、「イチゴのパンナコッタ」、「カスタード饅頭」、「芋あんとナツメ入りの黒もち米ケーキ」など、いずれも皿まで舐めたくさせるような美味しさです。
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